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2007年4月13日 (金)

「最後の社会主義国」日本の苦闘!

気づいたら、ブログの記事更新を怠っていた(^^;。本書は、休日の買い物ついでにフラッと寄った書店で見つけて手に取った。久々に、精読した、日本の状況を体系的に分析した、政治学教授の翻訳書。しかし、「退出」と「声」の力学は、至極、心理的側面を含んでおり、う~~ん、と感心、得心した次第(^_^)v。ほんのちょっと誤植があるけれども、良書である。

「最後の社会主義国」日本の苦闘 Book 「最後の社会主義国」日本の苦闘(265)

著者:レナード・ショッパ
販売元:毎日新聞社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

帯には...
なぜ子どもの産めない国になったのか?!
広がる格差、崩れゆく社会保証システム、時代遅れになった国の悲惨を客観的にみすえる--画期的論考!
...とある。

著者 レナード・ショッパ氏は、子ども時代を北海道で、大学卒卒業後は熊本で英語教師として、この国日本で暮らしたことがある。
語学能力で言えば、バイリンガル。
フルブライト・リサーチ・フェローとして日本に滞在した時期に官僚や政治家を取材した経験も生かされている。

10chanが浅学菲才ゆえ知らないだけかも知れないが...本書ほど体系的に、日本の政治システムと「社会保障システム」に関する知識とデータを取り上げながら、日本の政治と社会システムを論じた著作を知らない。さらに、翻訳書出版に当たって、著者は本文およびデータを極力最新のものにしている。
なお、著者の言う「社会保障システム」とは、われわれが通常「社会保障」と呼ぶもの以上に広い概念でとらえており、日本社会の安全ネットといった意味である。

原題は、RACE FOR THE EXITS「出口」への殺到、である。「出口」に殺到している主体は、企業女性であるとする。それぞれの(部分的)退出によって、産業空洞化と非婚・晩婚・出生率低下、が起きている。

ハーシュマンのヒント(「退出」と「声」は相関する)を応用し、分析している。退出コストが高ければ、すなわち「出口ゼロ」状況と認識されれば「声」による改革が起きる。退出コストが低ければ大量の退出が起き退出による改革が起きる。現在企業行動と女性の行動を規定しているのは、コストは中で、一部の退出(部分的退出)が起きているためで、総合的な改革の可能性が低い状況にあるとする。

著者は、過去20年に起きた不十分な改革と、成功した例外の改革を順次、「退出」と「声」の力学から解明し、次のようにまとめている(329頁)。
「出口なし」の例:介護保険
声にうながされた改革である。退出不能が起爆剤となり、現状に欲求不満をもつ人々は政治の舞台で行動を起こす。
「限定的退出」の例:労働市場改革、電力自由化、公共事業の削減、財政投融資計画および郵政の改革、高速道路民営化、不良債権処理、育児休暇、保育施設の拡大
わずかな改革に留まった。変革を求めて行動をおこしたかも知れない人々が退出し、政治の舞台での圧力は弱まるが、官僚たちを直撃して意味のある対応策をとらざるを得なくするほどの、強い痛みをもたらしはしない。
「大量退出」の例:金融サービス部門におけるビッグバン改革
退出によってうながsらえた改革である。現状に不満をいだく人々が大量に問題から退出しようとすることによって生じる顕著な問題が、官僚たちを動かして意味ある解決策を立てさせ、遂行させることになる。

最終章では、今後の日本を予測する2つのシナリオを提示している。早急に、フラストレーションのはけ口を退出から声に切り替えられない限り、結局は、「護送船団式資本主義」は米英のシステムが持ち合わせているすべての不平等と不安定さを備えた「英米モデル」にきわめて近い新システムに変身するしかない。これが著者の予測である。

国家が、より大きな、社会民主主義的な役割を演じることをもとめるべきだと気づいても、この結論に達するのは、政府が資金不足におちいってからだろう...この著者の、日本に向けた警告を叱咤激励ととらえて、「退出」を「声」にしていく努力は、読者である国民に課せられている。

★追記(07/05/11)★
みーぽんの社会科のお勉強の部屋http://miepong.blog81.fc2.com/blog-entry-24.html)の書評は秀逸ですので、ご覧になってくださいマセ~♪

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コメント

ときどきブログを拝見しています。わたしもい本書をちょうど数日前に読み始めたところです。
私の場合は、「外資系で働き」「外国人と結婚し」と、まさに退出している張本人なので、実感を持って読みすすめています。
アメリカ人の夫によれば、アメリカでは専業主婦になると夫が財布を握るので、妻が働きたいという力学が働くが、日本では妻の実権が強いので働く必要性をあまり感じないのでは、とのことです。
また読み終えてから、わたし自身のブログでも感想をまとめたいと思っています。

投稿: みーぽん | 2007年4月17日 (火) 16時24分

みーぽんさん、コメントありがとうございました。
「みーぽんの社会科のお部屋」に書評をアップされたら、トラバお願いします。
ブログ拝見させていただきましたm(__)m。

投稿: 10chan | 2007年4月19日 (木) 23時48分

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