2010年3月14日 (日)

思考の整理学

100万部突破。東大・京大で1番読まれた本   ・・・という帯の文字に誘われて、たいていの書店で平積みにされていたものを、南国の書店で購入し、つい読んでしまった。

本書に書かれている、思考の整理学は、10chanの卑近で言えば...まさにEBMの発想というか、スタンスそのもの、であった。

1983年3月、単行本として出版された内容だから...大雑把に言って、20年前の著作であるが、今の知の洪水ゆえに劣化した知の世界に、今でも道筋をしっかり示してくれている。

すごい! の一言である。

思考の整理学 (ちくま文庫) Book 思考の整理学 (ちくま文庫)(499)

著者:外山 滋比古
販売元:筑摩書房
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最初の項 グライダー

学校の生徒は、先生と教科書にひっぱられて勉強する。自学自習ということばこそあるけれども、独力で知識を得るのではない。いわばグライダーのようなものだ。自力では飛び上がることはできない。(11頁)

いまの学校教育では、グライダー能力はつけられても、飛行機能力をつけにくいことはすでにくりかえしのべてきた通りである。それにもかかわらず、実際には、グライダーを飛行機と誤解する。試験の答案にいい点をとると、それだけで、飛翔力ありと早合点してしまう。これがいかに多くの混乱を招いているかしれない。

後半の項 三上・三中

良い考えが生まれやすい状況として、

三上・・・馬上、枕上、厠上

文章上達の秘訣3カ条として、

三多・・・看多(多くの本を読むこと)、做多(さた、多く文を作ること)、商量多(多く、工夫し、推敲すること)

以上、欧陽修

三中・・・無我夢中、散歩中、入浴中

・・・これらは、著者による、いい考えの浮かぶいい状態、である。

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2009年6月28日 (日)

非定型うつ病関連本(2)

この2か月、身辺慌ただしく...実母の入院、そして明日の退院、自分の転勤、二男を筆頭にした子どもたちの各種対応...などなど...。

このブログの存在と、記事の更新をほとんど忘れていた(>_<)m(__)m。

読了した書籍は積もるばかり...で(^_^;)。

さて...関連本(1)http://10chan-kokoro.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-8fd8.html)の続き。

この1~2年、うつ病を扱った、あるいはうつ病に”かする”著作が相次いでいる。

それだけ、対象読者...つまり、患者・家族数が増えたと言えるし...一向に減らない我が国の自殺者数の背景に気分障害がある、と言うことでは、関心がそれだけ高いし、写期あ問題化している、と言えよう。

AERA等を初め、ビジネス・パーソンが読者対象の雑誌でも、うつ病に関連した特集記事が相次いでいる。

「心の傷」は言ったもん勝ち (新潮新書 270) Book 「心の傷」は言ったもん勝ち (新潮新書 270)(482)

著者:中嶋 聡
販売元:新潮社
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被害者の立場の極端化を許しうるような、ある共通の構造がある。その構造にもとづいて、訴えさえすれば被害者の主張がそのまま認められ、加害者とされた人が一方的に断罪されてしまう現代社会のあり方を「被害者帝国主義」と名づけ、変わってしまった価値観はすべて受け入れ、適応していかなくてはならないのか、一緒に考えることが本書の狙いであるという(はじめに)。

「私はうつ」と言いたがる人たち (PHP新書) Book 「私はうつ」と言いたがる人たち (PHP新書)(483)

著者:香山 リカ
販売元:PHP研究所
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テレビのコメンテーターで、大学教授の著者は、定期的に親書を発刊している。

本書は、むしろ、精神科専門医あるいは精神科医療従事者が、どれほど患者と家族、さらには社会に対して正しい情報を提供するか、啓発できるか...裏返せばそれが十分にはできていない現状があるからこそ、むしろ本書で紹介・指摘されているような事態が生じている...と理解されるべきではないだろうか...(?)。

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2009年3月 1日 (日)

うつ病の真実

2刷時点で購入し、読んでいたものだが...当ブログにアップしていなかったようで...(^_^;)。

うつ病の真実 Book うつ病の真実(468)

著者:野村総一郎
販売元:日本評論社
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うつ病関連本が花盛り、である。中で、最も硬派(?)で、著者らしくジェントルマンな(?)著作と言える。

本書を、今頃、取り上げてみようと思ったのは...10chanは視聴しそびれてしまったものの(^_^;)...先週、NHKスペシャル番組が放映されたことがきっかけ。
   ↓      ↓      ↓
「うつ病治療 常識が変わる」 http://www.nhk.or.jp/special/onair/090222.html

日本うつ病学会の理事長である著者は、もちろん、番組出演されていた、と聞く。

生真面目な中年男の憔悴、リストカットを繰り返す若い女性の不適応、神経質な子どもの不登校、これら3者を皆、一括してうつ病と澄ませてしまっていいのか? ・・・「昨今、あまりにもうつ病の診断がなされすぎてはいないだろうか」というのが問題意識、である。

「学者というより臨床家」である著者の可能な範囲で、「本格的」にうつ病を考えようとした労作、である。

2・3章では、進化生物学の視点から、うつ病について考察している。ユウウツ感情は、環境激変下での「新たな生き方を導き」「争いを避け」「周囲の援助を引き起こす」ために進化した。つまり、徹底的に不利な遺伝子(の集まり)というわけでなく、現代社会に合わなくなって不利になっているのだから、「自然に逆らわない」「埋もれていた本来のエネルギーを再発掘する」という発想にうつ病の治療論はなづのではないか。「ユウウツが本当に消えるのは、その人が長く追及していた目的を完全にあきらめ、自分のエネルギーを別の方向に向けるようになった時である。」(ネシーとウィリアムズ, 新曜社, 2001)

4・5章では、ギリシャ悲劇から、6章では古代ギリシャ哲学・医学から(うつ病を真正面から論じた最初の学者はアリストテレスである)、7章 旧約聖書にみるうつ病、8章 ジェインズの理論から(意識の発生に伴って人間はウツを明確に示すようになった)、9章 ローマ時代からルネッサンス期(精神障害全般は病気よりも宗教的な異端として捉えられることが多くなったが、メランコリーだけは依然として身体病理で説明されていた)、10章 メランコリーから躁うつ病へ(クレペリンの登場)、11章 現代的うつ病概念の完成(1950年代も終わろうとする頃、レオンハルトが「躁うつ病(双極)」と「単極性うつ病(単極)」を指摘した。そして「内因性」か「心因性」かの議論で、2×2の組み合わせとなるが、全体を「気分障害」あるいは「感情障害」と呼ぶことが1980年頃から誕生してきた。)、12章 操作的診断の登場(アメリカ流のゴールドスタンダード;DSM)、13章 操作的診断の問題点(精神医学の浅薄化と大衆化、大衆は便利部分しか見ない。多軸診断は有用だが問題も多い、スペクトラム障害の登場byアキスカル)、14章 病前性格論と双極スペクトラム概念(下田の執着気質は双極性うつ病の性格が念頭に置かれていたが、テレンバッハのメランコリー親和型性格は単極性うつ病のことだったというのは10chanにも新味だった。双極スペクトラムの考え方は、単極性を別物と考え、他を双極Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・・・で要は、うつ病は(1)双極性障害、(2)単極性障害、(3)「双極かも特徴」と「双極かも性格」をもっている単極性(のように見える)障害(⇒「ソフト双極性スペクトラム障害」)の3つに分かれるハズである、という指摘は分かりやすい)。

・・・と、以上、うつ病概念をめぐって歴史的な要約を提示している。

以後15・16章はうつ病の治療の歴史的概観、17章 うつ病の化学、18章 細胞のストレス反応とうつ病の正体(アロスタシスやBDNFといった最新の細胞研究とうつ病の関係について考察)。

最終章19章では、以上の全体を振り返り、すべてのうつ病に過剰活動が見られるので「活動期を過剰にしない」というのが治療論としての示唆、である。

バランスの良いジェントルマンな著者らしい、著作である、というのが読後感であった。

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2009年2月15日 (日)

二人の「老いてもなお」

たまたま、老境にある(失礼!?)二人の精神科医の著作を、同時期に読んだ。

 「…」でないと歳をとった意味がない 「…」でないと歳をとった意味がない(465) 
販売元:セブンアンドワイ
セブンアンドワイで詳細を確認する

本書()は、Amazonでアフィリされておらず、販売元のHPでも掲載されておらず...(?)⇒アフィリされていることに気付いたので、更新@090331

それもそのはず!? 発刊日が、2009年2月18日、とのことで、10chanは発刊前のものを先週、手にしたことになる(?(^_^;))。

本書収載のエッセイ、全40篇は、NPO法人()の通信『つばさ通信』に連載された90篇から、編集されているとのこと。出版の目的はひそかな自分の「古希の祝い」とのこと。

HUMAN LIFE INFO NET”翼”http://ktkky.blog94.fc2.com/blog-category-1.html
(代表:佐藤紀子氏, NPOのHPとかは見つからない(^_^;)。)

著者の過去の著作中に登場した人々の(一部の)その後も知れて、味わいが深い。著者の、秋山ちえ子さんとの交流(あったことのない友)、椎名誠さんとの出会い(人と人と)なども知れる。

ちなみに...著者の「・・・」は、「怒らなければ」「一揆を起こさねば」であったようである。

臨床瑣談 Book 臨床瑣談(466)

著者:中井 久夫
販売元:みすず書房
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こちらも、当ブログで過去に著作を取り上げたことのある、中井久夫先生のエッセイ集である。

「臨床瑣談」とは、臨床経験で味わったちょっとした物語というほどの意味である。(まえがきより)

「現代は容赦なく病名を告知する時代」にあるが、そういう時代にあって、「この本は病名を告知された患者側ができる有効なことを主にしているが、金科玉条のように読んでいただくのは私の本意ではない。」(まえがきより)

全6篇のタイトルだけ紹介すると...

1 虹の色と精神疾患分類のこと
2 院内感染に対する患者自衛策試案
3 昏睡からのサルヴェージ作業の試み
4 ガンを持つ友人知人への私的助言
5 SSM,通称丸山ワクチンについての私見
6 軽症ウィルス性脳炎について

・・・いずれも、著者らしい、日々の経験から導かれた深い洞察、中井先生らしい思考法・発想法がご健在なのが知れる。

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2008年11月19日 (水)

大人の時間はなぜ短いのか

大変な意欲作、と評価したい。Amazonでは、アフィリ対象外、かつ、すでに通常ルートでは入手困難な書籍になっている(>_<)。本書は、職場近くの書店で、本当に久しぶりで昼休みにブラついて、たった一冊残って(?)いたものを購入した次第(買えて、買っておいてよかった?)。

 大人の時間はなぜ短いのか 大人の時間はなぜ短いのか(445) 
販売元:セブンアンドワイ
セブンアンドワイで詳細を確認する

主観的時間・・・私たちが経験する時間 と、時計で測れる客観的・物理的・公共的・社会的時間(^_^;)とのズレについて、認知心理学的研究の現在時点から後者の時間との付き合い方についてヒントを与えてくれる著作、である。

ただし、大人の時間はなぜ短いのか? という疑問形に、明確な回答は用意されていない(^_^;)。

いまだ、明確な回答がだせるほどに研究が到達していない、というのが実情のようだ。

10chanが読んでいて、マークした個所を、列挙し残しておきたい(^_^;)。

フランスの哲学者ポール・ジャネーとその甥の心理学者ピエール・ジャネーは、感じられる時間の長さは、年齢と反比例的な関係にあるという仮説を立てた(Janet, 1928)。一般に「ジャネーの法則」として知られている。(14ページ)・・・ただしこれは直観的に導き出された仮説、とのこと。著者らが『時間旅行』展@日本科学未来館(2003年3月~6月)の際に収集した3526人のデータでも実証された;評価時間と実際の時間の比(%)=0.149X + 99.663(r=0.810、p=.01)。

歴史的にみると、時計の時間が人間の生活パタンに大きな影響力をもつようになったのは、農耕に関わる作業に大量の労働力を投入する必要が出てきたからである(ジャック・アタリ『時間の歴史』1986)。(24ページ)・・・時計の時間はそもそも労働と切り離せないモノ、道具として生まれたというのは大変示唆的であると感じた。

つまり、世界共通の時間や時間の単位は、協定による国際的な取り決めなのだ。日本の標準時は協定世界時から9時間進んでいる。秒単位で表記される日本の標準時は、以下のサイトで手に入れることができる。http://www2.nict.go.jp/cgi-bin/JST.p126ページ

知識による矯正が困難であることは、知覚の重要な特徴の一つである。(40ページ

フレーザーの錯視、ミューラー・リヤー錯視、ポンゾ錯視、水平垂直錯視、ツェルナー錯視、ポゲンドルフ錯視、不可能の三角形、オオウチ錯視、フレーザー・ウィルコックス錯視、ピンナ・ブレルスタッフ錯視、パラパラ・アニメを成り立たせている「仮現運動」、天体錯視、扁平な視空間、といったよく知られている錯視が紹介されている。そして、

以上のように、古くからよく知られている錯視でさえ、十分に解明されているわけではない。むしろ、大半の研究者が満足するような説明がなされた錯視のほうが少ない。ほとんどの錯視については、議論がまだまだ続いている。こうした状況は、人間が自身の特性について十分には知らないことを物語っている。(59ページ

定規を使った反応時間測定の公式・・・RT(sec)=ルート(Scale(mm)/1000/4.9)(74ページ)、10回程度施行し平均をとるとよい。

時間知覚には、空間に対する目、音に対する耳のような独自の感覚器官がない。(75ページ

時間評価に影響を及ぼす主な要因には、身体の代謝、心的活性度、時間経過への注意、他の知覚の様相など(松田文子ら『心理的時間』1996)がある。(118ページ)・・・それらの要因間の修飾関係についてはまったくの手つかず。

心地よい「精神テンポ」・・・心地よいと感じられるテンポで机を指で繰り返し、たとえば10回叩いて何秒かかったか測定し計算してみるとよい。おおよそ0.4~0.9秒の範囲に収まる人が多いといわれている。(132ページ

第6章では、現代人をとりまく時間の様々な問題として、現代社会における時間の特徴として、厳密化・高速化・均質化を挙げている。

そして、JR福地山線の事故を引き合いにしながら...

厳密なスケジュールからずれることが許されないようなシステム、あるいはスケジュールからの遅れを取り戻すために危険を冒さなくてはならないようなシステムは、人間の作業者向けではないともいうことができる。もっとゆるやかなスケジュール設定にするか、あるいは時間的遅れを生まないような機械に作業を担当させるべきであろう。(161ページ

と述べている。

最終章、第7章では、道具としての時間を使いこなすとして、結局、時計の時間・客観的時間は、理念的、概念的なものであり、あくまで道具である、とする。それは、

人間が、自然への適応や農耕、社会生活における個々人の間の行動の調整のために、時計の時間(客観的時間)というものを創作し、利用しているのである。(178ページ) そして読者一人一人が付き合い方をカスタマイズせざるを得ない、としている。

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2008年9月12日 (金)

最後の授業

一度、近所の書店で平積みされていて、気になったが、その時は購入しなかった。しかし別の折にカーナビのない自家用車ゆえ、最新の道路地図の購入の際に、購入し...昨夜寝不足になりながら一気に読み切った。

最後の授業 ぼくの命があるうちに DVD付き版 Book 最後の授業 ぼくの命があるうちに DVD付き版(436)

著者:ランディ パウシュ,ジェフリー ザスロー
販売元:ランダムハウス講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

”head fake” バーチャル・リアリティーと人との相互作用研究のトップ学者、パウシュ教授が体感した教育とは・・・ひとつの答え。

バーチャル・リアリティーこそhead fake(頭のフェイントと訳されている)の極だ。

本書は、全米で600万人が視聴したとされる、ペンシルベニア州ピッツバーグ、ハイテクの街に拠点を置くカーネギー・メロン大学の講堂で行われた「最後の授業」の続編 or 姉妹書である。

膵臓癌を抱えたパウシュ教授にとって、この「最後の講義」は文字通り最後の講義となった。

講義では言い足りなかった、あるいは触れられていなかった内容に触れられている。最愛の妻と3人の幼い子供との残された時間を過ごす時間をできるだけ削らなくて済むように、ジャーナリスト ジェフリー・ザスローに53回の「講義」を行ったものから構成されている。

ザスローはウォールストリート・ジャーナル誌のコラムニスト。

本書は、聴衆への講義だが...「夢をどのように実現させるか」について講義してきたが実は「人生をどのように生きるか」という話をしたこと・・・1つ目のfake。

そして...2つ目のfakeは・・・実は子供たちへの講義。

本書には、日本語字幕付きのDVD付きのものと、書籍のみのものとがある。

カーネギーメロン大学が開発した教材用ソフトウェア、アリス ⇒http://www.alice.org/

「about us」のページのスタッフの最後に、パウシュ教授のことが書かれており...

最後の講義がYpuTubeで配信されている(こちらはモチロン字幕はついていない)⇒http://jp.youtube.com/watch?v=ji5_MqicxSo

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2008年6月17日 (火)

アスペルガー症候群のすべてが分かる本

日本人著者による、アスペルガー症候群の子をもつ親御さん向けの著作、と言える。

イラスト多様で、1テーマ原則見開き2ページで解説されている。この障がいの全体像を体系的に理解しようとする専門家にとっては、物足りないかも知れない。

アスペルガー症候群(高機能自閉症)のすべてがわかる本 (健康ライブラリー イラスト版) Book アスペルガー症候群(高機能自閉症)のすべてがわかる本 (健康ライブラリー イラスト版)(430)

販売元:講談社
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TEECHのさわりにも触れるなど、およそこの障がいをめぐる話題を網羅してはいる。

ページ数もそう多くなく、比較的短時間で読み通せることも購入されている理由かも知れない。出版は2007年3月ではあるが、この国の対策がかなり遅れをとっていることも、そういう視点で読むとよく分かるのが情けない(^^;。

★「本業」が立て込み...(^^;、更新がやはり滞った。記事にできる書籍も徐々にたまってきている...。ポツポツと折を見ては記事をアップしていくつもりなので、時折アクセスしてやってくださいm(__)m。しばらくは、2~3冊/週のペースは崩れると思います。

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2008年6月11日 (水)

ガイドブック アスペルガー症候群

発達障害者支援法が施行され3年を経て、その見直しに関する検討会も立ち上げられた。同法の成立・施行に伴って、「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立し、昨年から”特殊学級”が「特別支援教室」と呼ばれるようになった。

実際のところ、発達障害支援システムはいまだ立ち遅れていると言わざるを得ないが、こうした変化によって、本書が扱っている、アスペルガー症候群は広く人口に膾炙した、感がある。

ガイドブック アスペルガー症候群―親と専門家のために Book ガイドブック アスペルガー症候群―親と専門家のために(429)

著者:トニー・アトウッド,冨田 真紀,内山 登紀夫,鈴木 正子
販売元:東京書籍
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本書の原著者トニー・アトウッドは、相対的に進んでいる英国出身、現在オーストラリアで自閉症スペクトル障害を専門とする個人クリニックで、その相談と治療にあたている臨床心理士である。

本書は、アトウッドが、多方面にわたる研究のまとめと、25年間の心理臨床家としての経験に基づいて、アスペルガー症候群をもつ子どもや成人の親御さんと関係者のために、それを見分けて対処する助けとなるガイドとして著わされたものである。

診断(第1章)に始まり、社会的ふるまい(第2章)の特徴、言語(第3章)の特性について、彼らが示す特別な興味と日々の決まり(第4章)、運動の不器用さ(第5章)、認知のはたらき(第6章)の特徴、感覚の過敏性(第7章)について分かりやすく解説・紹介し、最後によく受ける質問(第8章)23と著者の回答という構成になっている。

アスペルガー症候群の子をもつ母親にして、英国在住歴のある、鈴木正子氏も翻訳に携わっており、日本語訳はこなれていて大変読みやすい。

アスペルガー症候群の人々がぶつかる様々な問題を検討し、彼らがそれを克服するのを助け、私たちもそれに合わせていくための実践的方策を提案をしています。読者は、そこに本書の真価を見出すことでしょう。繰り返して目を通し、相談相手とすべき本です(ローナ・ウィングによる序文より)。まさにその通り!と思えた。

★発達障害情報サービス(厚労省) ⇒ http://www.mhlw.go.jp/ddis/index.html

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2008年4月 1日 (火)

うつ病 正しい治療がわかる本

Amazonで他の書籍を注文した際、たまたま目に留まったので購入し読んでみた。

Book うつ病正しい治療がわかる本 (EBMシリーズ)(401)

著者:樋口 輝彦
販売元:法研
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さっこん流行のEBMシリーズ中の1冊で、続々刊行とのこと。

うつ病の治療の4本柱として、休養、薬物療法、環境調整、精神療法とまとめているのは、もちろん良いとして...

一般読者向けの書籍だとしても、昨今さまざまな類書が出されていることも思うに...かなり喰い足りないと感じる読者が多いのではないだろうか。たとえば、根拠の出典が一切(正しくは、ほとんど)示されていないのは、大変残念に思えた。昨今では、諸文献も、インターネット上で、読める読者も多いだろうし、意欲的な(一般)読者であれば、さらに進んだ学習を求める向きもおられるだろうから。

また、巻末に「うつ病の患者さんの職場復帰支援を行っているおもな施設リスト」が掲載されてはいるが、本文での職場復帰に関連した記載が乏しいのも、大変残念に思われた。

蛇足として、認知療法にゆがみがあるということは、私がゆがんだ人間ということでしょうか? という巻末のQ&A部分での答えでも、考え方の偏り、傾向というくらいの意味合いとの回答があるが、10chanは考え方の狭さ、それを広げるのが認知療法、あるいは、考え方のクセ、それを扱いやすくするのが認知療法と心得ている。

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2008年2月29日 (金)

戦争する脳

著者は、1985年に、千葉県精神科医療センターを設立し、精神科救急の草分けとして、遅れたこの国の精神科医療を牽引されてきた。

著者計見(けんみ)先生は1939(昭和14)年のお生まれで戦後最初の1年生であったこと、お父さまが旧海軍の主計少佐で戦後陸上自衛隊の陸将補で退役されたこと、著者がライフワークとされた精神科救急≒戦場の精神科医療であること、といったもろもろが本書を著わす動因となったとのことである(序章より)。

戦争する脳―破局への病理 (平凡社新書 402) Book 戦争する脳―破局への病理 (平凡社新書 402)(389)

著者:計見 一雄
販売元:平凡社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

1998年以降続く、年間自殺者数3万人。これは、経済「戦争」のカジュアルティである。また「失われた10年」とは、「第二の敗戦」である。この著者の視点は、10chanも、これまで機会があれば述べてきたところである。

さて...本書は、第1章、否認(ディナイアル)という精神病理現象から説き起こされている。ディナイアルとは、「都合の悪いリアリティに目をつぶること」。わが国にはすでに軍隊である「自衛隊」が「ある」。戦争をあり得ることとして考えておくのか、あってはならないこととしてディナイアルして考えないでおくのか。筆者は、当然前者を取る。

ヒトの脳で、行為や動作を制御するシステムは、まず、行為や動作をするための準備的な脳活動が開始される。それが完成すると、ゴーサインが出て、さまざまな身体動作の実行系を担当する脳内部署(運動野)が発火して、実際の行為になる。「あれをやろう」と思う(意識する)より以前に、準備的な脳活動が開始されていることである。「やる」という決心が徐々に固まるとともに、ハッキリした意識が生まれる。やると決めた後、実行までの間の制御は「行為をしない」というネガティヴ・コントロールのみで、「する」というコントロールは存在しない。実行までの時間が0.3秒程度になると、このネガティヴ・コントロールも効かず実行あるのみになってしまう。行為の発端は欲望である。(45-6頁

要するに、感覚系から運動系に折り返す中枢神経部位である、前頭葉連合野が、動作・行為・行動を制御しており、自らの行動計画を時間軸に沿って策定するのだから、「戦争脳」であるとも言える。(86頁) 特に、大脳皮質前頭前野は、未来予測と行動計画に専門化すべく進化した脳である。ここが機能するためには、大脳皮質のネガティヴ・フィードバックに打ち勝つだけのエネルギーを欲望から持ってこなければならない。また、作戦計画作成のために必要な情報デポ(貯蔵庫)は前頭前野より後方の大脳皮質にあり、それを呼び出す手続きを担当するのは海馬辺縁系(リンビック・システム)であり、より情動(脳)に近いところにあり、好悪愛憎の感情でメモリ表象を色づける。結局、戦争遂行脳は、欲望問題と深くつながっている。結局、欲望と感情、好悪や愛憎抜きの「純粋な合理的判断」は、脳にはできない。それが限界である。(87頁

つまり、戦争をなかったこと、ありえないこと、としてディナイアルしないこと。血みどろ泥まみれ、無辜の人々の阿鼻叫喚といったおぞましい光景をディナイアルしないこと。そこに、「戦争する脳」に戦争させないカギ、抑止力が働く、というのが著者の結論であろう。

脳の重大な弱点として、1日7~8時間の睡眠を取らないとちゃんと働かないこと、連続して単独運転させてはならないこと(浮遊脳状態では勝手な空想・妄想、やがて幻覚のとりこになる)、脳だけでは考えることも感じることもできないこと、の3つを上げている。

戦争イデオロギーでは否認されがちだが、否認し続ければ結局敗北に至るもの、戦士には肉体がある、という視点から、第3章は述べられている。

第4章は、戦陣精神医学。それは≒精神科救急医学、である。戦陣精神医学の4つの原則は、①プロクシミティ(可能な限り前線に近く)、②イミディアシー(直ちに、戦闘によるブレーク・ダウンが起きたらなるべく早く)、③期待(病気ではないから、疲れを取ればすぐに原隊に復帰できると言ってあげること)、④シンプル(休息と食事と熱いシャワー)、である。

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