大変な意欲作、と評価したい。Amazonでは、アフィリ対象外、かつ、すでに通常ルートでは入手困難な書籍になっている(>_<)。本書は、職場近くの書店で、本当に久しぶりで昼休みにブラついて、たった一冊残って(?)いたものを購入した次第(買えて、買っておいてよかった?)。
主観的時間・・・私たちが経験する時間 と、時計で測れる客観的・物理的・公共的・社会的時間(^_^;)とのズレについて、認知心理学的研究の現在時点から後者の時間との付き合い方についてヒントを与えてくれる著作、である。
ただし、大人の時間はなぜ短いのか? という疑問形に、明確な回答は用意されていない(^_^;)。
いまだ、明確な回答がだせるほどに研究が到達していない、というのが実情のようだ。
10chanが読んでいて、マークした個所を、列挙し残しておきたい(^_^;)。
フランスの哲学者ポール・ジャネーとその甥の心理学者ピエール・ジャネーは、感じられる時間の長さは、年齢と反比例的な関係にあるという仮説を立てた(Janet, 1928)。一般に「ジャネーの法則」として知られている。(14ページ)・・・ただしこれは直観的に導き出された仮説、とのこと。著者らが『時間旅行』展@日本科学未来館(2003年3月~6月)の際に収集した3526人のデータでも実証された;評価時間と実際の時間の比(%)=0.149X + 99.663(r=0.810、p=.01)。
歴史的にみると、時計の時間が人間の生活パタンに大きな影響力をもつようになったのは、農耕に関わる作業に大量の労働力を投入する必要が出てきたからである(ジャック・アタリ『時間の歴史』1986)。(24ページ)・・・時計の時間はそもそも労働と切り離せないモノ、道具として生まれたというのは大変示唆的であると感じた。
つまり、世界共通の時間や時間の単位は、協定による国際的な取り決めなのだ。日本の標準時は協定世界時から9時間進んでいる。秒単位で表記される日本の標準時は、以下のサイトで手に入れることができる。http://www2.nict.go.jp/cgi-bin/JST.p1(26ページ)
知識による矯正が困難であることは、知覚の重要な特徴の一つである。(40ページ)
フレーザーの錯視、ミューラー・リヤー錯視、ポンゾ錯視、水平垂直錯視、ツェルナー錯視、ポゲンドルフ錯視、不可能の三角形、オオウチ錯視、フレーザー・ウィルコックス錯視、ピンナ・ブレルスタッフ錯視、パラパラ・アニメを成り立たせている「仮現運動」、天体錯視、扁平な視空間、といったよく知られている錯視が紹介されている。そして、
以上のように、古くからよく知られている錯視でさえ、十分に解明されているわけではない。むしろ、大半の研究者が満足するような説明がなされた錯視のほうが少ない。ほとんどの錯視については、議論がまだまだ続いている。こうした状況は、人間が自身の特性について十分には知らないことを物語っている。(59ページ)
定規を使った反応時間測定の公式・・・RT(sec)=ルート(Scale(mm)/1000/4.9)(74ページ)、10回程度施行し平均をとるとよい。
時間知覚には、空間に対する目、音に対する耳のような独自の感覚器官がない。(75ページ)
時間評価に影響を及ぼす主な要因には、身体の代謝、心的活性度、時間経過への注意、他の知覚の様相など(松田文子ら『心理的時間』1996)がある。(118ページ)・・・それらの要因間の修飾関係についてはまったくの手つかず。
心地よい「精神テンポ」・・・心地よいと感じられるテンポで机を指で繰り返し、たとえば10回叩いて何秒かかったか測定し計算してみるとよい。おおよそ0.4~0.9秒の範囲に収まる人が多いといわれている。(132ページ)
第6章では、現代人をとりまく時間の様々な問題として、現代社会における時間の特徴として、厳密化・高速化・均質化を挙げている。
そして、JR福地山線の事故を引き合いにしながら...
厳密なスケジュールからずれることが許されないようなシステム、あるいはスケジュールからの遅れを取り戻すために危険を冒さなくてはならないようなシステムは、人間の作業者向けではないともいうことができる。もっとゆるやかなスケジュール設定にするか、あるいは時間的遅れを生まないような機械に作業を担当させるべきであろう。(161ページ)
と述べている。
最終章、第7章では、道具としての時間を使いこなすとして、結局、時計の時間・客観的時間は、理念的、概念的なものであり、あくまで道具である、とする。それは、
人間が、自然への適応や農耕、社会生活における個々人の間の行動の調整のために、時計の時間(客観的時間)というものを創作し、利用しているのである。(178ページ) そして読者一人一人が付き合い方をカスタマイズせざるを得ない、としている。
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